サニーズを始めた理由

小学校低学年の頃、近所に一軒のクレープ屋さんがありました。おばあちゃんが笑顔でクレープを焼いてくれる、小さなお店でした。いつもお店のまわりにお客さんがいて、甘い香りが漂っていて、食べているみんながいつも笑顔だった。あの景色を、今でも忘れることができません。

クレープ屋さんを始めたわけ、そこには笑顔があった。
まだ僕が小さかった頃の話。近所にあった一軒のクレープ屋さん。
おばあちゃんが笑顔でクレープを焼いてくれた。
ふわりと甘い香りが街に広がっていた。
食べているみんながいつも笑顔だった。
あの景色を今でも僕は忘れない。
Happy time and smile to you

自分でお店を持つようになってから、クレープをメニューに加えたのは自然なことでした。出すと必ず喜ばれた。注文される率が飛び抜けて高かった。なかなか食べられるお店がないのに、みんな大好きな食べ物。キッチンカーで売るならクレープしかないと思いました。

2003年、30歳を前に独立した

30歳になる2ヶ月前、諏訪でBooks cafe Sereno(セレーノ)を開きました。イタリアンとbarといった雰囲気のお店です。ずっと独立したくて、いろんな飲食店で働きながらお金を貯めてきた。応援してくれる人もいましたが、多額の借金を抱えてのスタートで、しかも東京から戻ってきたばかりで諏訪には知り合いもほとんどいない。どうやって知ってもらうか、それが最初の悩みでした。

お店は繁盛しました。常連のお客様に喜んでいただいて、イベントも開催して。ただ、家賃・光熱費・人件費・その他経費が思った以上にかかり、利益はなかなか残らない。このまま続けていても状況は改善しない。次のことを、常に考えていました。

そんな時、近くの商業施設に出店していたキッチンカーに長蛇の列ができているのを見ました。大型のショッピングモールやイベントには人がごった返しているのに、私のお店があった中心市街地には人が来ない。「これからは人がいるところで商売しなきゃいけない」という思いが強くなりました。

1年かけて、レシピを作った

セレーノをやりながら、朝早く店で生地を仕込んで出店場所へキッチンカーで向かい、日中はクレープを焼いてからセレーノに戻ってスタッフと働く。そんな日々が続きました。常連のお客様はワクワクして応援してくれていました。セレーノではいつも新しいことに挑戦していましたから。

生地の開発には1年かかりました。当時お客様にパティシエの方がいて、菓子作りの基本を教わりながら試作を繰り返しました。手に入る粉という粉、30種類以上を取り寄せて配合を変えて、200回以上試作した。生地の方向性(ふんわり、もちもち、ぱりぱり、しっとり、厚さ、薄さ、香り)、クリームの甘さ・硬さ・保持性——これだけでも20種類以上試しました。商品化してからもお客様に試食してもらいながら2ヶ月かけて調整した。これがサニーズの原点です。

そして19年経った今も、レシピは一切変えていません。10年ほど前に「もう一度見直してみよう」と数十回試作しましたが、今のレシピが一番よかった。絶対的な自信があります。

なぜ、フランチャイズにしたのか

当時、キッチンカーの情報はほとんどありませんでした。車の改造はどうすればいいのか、許可はどうやって取るのか、出店場所はどうやって見つけるのか——ひとつひとつ自分で解決していきました。とても苦労しました。

その苦労・費用・時間を、これから同じように開業したい方に活かしてもらえれば、商売が軌道に乗りやすくなる。その時にサニーズを使ってもらえれば、店が増えることで既存のオーナーにもメリットが繋がっていく——そういう思いでフランチャイズ化を始めました。

最初から、全国で勝負できるブランドにしたいと思っていました。だからブランドロゴやコンセプトにも、多額の時間と費用をかけた。ある程度の多店舗化を見据えた上で、商品・ブランド・仕組みを最初から設計してきました。

19年間で見えてきたこと

うまくいくオーナーには共通点があります。人が応援してくれる人。素直で、行動力があり、常に改善を続けている人。そして何より、お客様のことを本当に大事にしていて、提供するクレープに絶対的なこだわりを持っている人です。

サニーズのオーナーはみな真面目でお客様思い。それがお客様に通じているのを、接客の場面を見ていていつも感じます。そして、人生を楽しんでいる。つらいことも楽しむし、趣味も多く、自分が人生の主役という感覚を持っている方が多い。そういう方は、挑戦を恐れないからスタートできた人たちでもあります。

一方で、正直に伝えておきたいこともあります。とにかく体力が必要です。最初は思った以上に売れない。場所も見つからない、クレープを焼くのは難しい、夏はなかなか売れない、暑い。片付けも仕込みも事務作業も、ほとんど休みがないような仕事です。楽に稼げると思っていると、続きません。

また、サニーズには最低限守ってもらうルールがあります。レシピ・提供方法・接客の基準——これを守れない方には、最初からご自身で始めてくださいとお伝えしています。ブランド全体のことを考えると、それは譲れません。

加盟をお断りすることもあります

正直に言います。問い合わせをいただいても、加盟をお断りすることがあります。

一番多いのは自己資金が足りないケースです。キッチンカーは開業資金を抑えられる事業ですが、それでも最低限のお金はかかります。借り入れに頼りすぎると、金利と返済が重くなり、安心して商売できなくなります。そして経験上、自己資金がたまっていない方は、収入から生活費を引いて残す習慣が身についていないことが多い。その習慣がないまま事業を始めると、うまくいかない可能性が高い。だから「今は時期ではない」とお伝えします。コツコツ貯めてから改めて連絡をくれて、しっかり準備してスタートしたオーナーもいます。

もう一つ、会社の副業・別事業としての加盟もお断りしています。片手間でうまくいくほど甘くないし、スタッフのモチベーションが続かない。サニーズは、オーナー自身が現場に立つことで成り立つ仕事です。

断る勇気を持つことも、本部の仕事だと思っています。

本部とオーナーの関係

日頃はLINEグループで情報を共有しています。業界の動向、レシピの伝達、焼き方の指導、ホイップの管理方法、原価管理、電子マネーの最新情報、衛生管理、成功事例の共有——発信の内容は多岐にわたります。個別には、集客方法・営業方法・キッチンカーの修理や車検・確定申告の相談から、パソコン選びや家族のこと、病気のことまで相談に乗ることもあります。

19年やっていると、オーナーが必ずぶつかる壁がわかっています。生地の状態、ホイップの管理、原価管理、営業場所の問題、スタッフの集め方——こうすると必ず失敗するというパターンも分かっています。だからオーナーの挑戦は全力でサポートしますが、明らかにうまくいかない時は全力で止めます。説得します。それも本部の仕事だと思っています。

開業当初、売れない日が続いてくじけそうになるオーナーに、いつもこう伝えます。「一喜一憂しないこと。場所を育てるのは時間がかかる。おいしいクレープを提供し続けて、丁寧に接客すれば、お客様は必ずついてきてくれる」と。そうなると常連様ができて、雨の日でも出店カレンダーを見てわざわざ足を運んでくれるようになる。その積み重ねが、イベントの時の行列にも繋がっていきます。

一番うれしい瞬間

現地へ足を運んだ時、お客様でにぎわっている光景を見ること。クレープを手に取った人が「わー」「かわいい」「おいしそう」と声を上げる瞬間。あの瞬間は、この仕事をしていてよかったと心から思います。

「滝澤さんのおかげでサニーズと出会って、自分の夢がかなった」「理想とする生活を送れるようになった」「ストレスが減った」——そう言ってもらえることが、何より嬉しい。サニーズから始めた事業を広げて、2号車を持ったり、固定店舗を開いたり、別の食事業を始めたり、法人化したオーナーもいます。そういう話を聞くたびに、続けてきてよかったと思います。

逆につらかったのは、閉店・廃業を経験した時です。FC化して最初のころ、向かない人に加盟してもらったり、説明が足りずに「想像と違った」と数年でやめていく方がいました。私の力が至らなかった。私を信じて加盟してくれたのに、という思いは今でも残っています。その経験があって、正直に誠実に——お金のためではなく、その人の人生にとってプラスになるかどうかを判断軸にしようと決めました。気づけば19年が経ちました。

これからのサニーズ

加盟店募集を続けているのは、もっとたくさんの人にこのクレープを届けたい、笑顔を増やしたいという思いからです。そしてどこよりもおいしいと、自信を持っているからこそです。

最近、オーナーからこんな話を聞くようになりました。観光地に出店すると「他のサニーズで食べたんです、すごくおいしくて」と言われる。引っ越す前の近所にサニーズがあってよく買っていた、これからもよく来ます——そういう声が増えてきた。ようやく、目指してきたブランド力がついてきた最初の段階だと思っています。これからです。

最低でも各都道府県に1店舗。クレープのキッチンカーといえばサニーズ——そういう存在になりたい。北海道、東北、中国地方、まだサニーズのクレープが届いていない場所がたくさんあります。そこにも笑顔を届けたい。

迷っているあなたへ

もっともっと迷っていい。それほど人生を費やす大事な判断ですから、もっと迷ってください。

今サニーズでオーナーをやっている方も、迷いまくって、何年も考えて、検討しまくってから問い合わせしてくれました。それだけ考えた上での開業だから、あとはただやるだけです。

キッチンカーの開業や独立はよくわからないことだらけだと思います。でも気軽にメッセージしてもらえれば、私が答えます。19年分の答えを、持っています。

そして最後に一つだけ。私がサニーズのクレープを通じて、食べてくれた人に感じてもらいたいのはただ一つです。何年経っても「あのクレープ、おいしかったな。また食べたいな」と思い出してもらえること。つらいことがあった日に「今日はサニーズのクレープ買いに行こう」と思ってもらえること。そして「あの人に会いに行こう」と思ってもらえるような、そんなキッチンカーのクレープ屋さんでありたい。

私が小さい頃に食べた、おばあちゃんが焼いてくれたクレープのように。

クレープショップ サニーズ 代表 / 株式会社セレーノ 代表取締役 滝澤 仁